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  なな−−闇の女−−へのレビュー




・農耕シーンが最高でした (2016/12/23(金) 07:52/バニー)

・剃毛されたパイパンヒロインが好みです。 (2016/12/27(火) 19:06/おけいなも)

・マン尺を挿入されて強制絶頂させられるシーンがツボです。 (2016/12/27(火) 18:22/おけいなも)

・ヒロインが敵に輪姦されるシチュエーションが好きなもので。 (2016/12/27(火) 18:27/おけいなも)

・ヒロインの魅力性と、ちょっと悲しいエンディング (2015/07/18(土) 01:16/ねこ)

・出羽小説の奥の院 (2015/08/02(日) 15:31/つねお)

・最後の48手のシーンが最高 (2016/02/10(水) 23:21)

初めて読んだときは衝撃的でした (2013/12/30(月) 16:42/ポニー)


  通りすがりのROM  2003/07/18 (金) 23:29

え〜と新規三作品を拝読させていただきました。
ななと花果てる果ての花は導入部ですがななは重い世界背景とそれによる抑圧感、加えて早くも見えてるヒロインの独自性(と書けばいいのか?ボキャブラリーが貧困なので)が作品をとてもいい感じにしていると思います。



  山田花子 03/08/16(土) 19:14

 すごく新鮮で面白い。しだいにミステリアスな女のとりこになっていく若者の心理が実にういういしく書かれています。出羽健さまの本領は、こういうところにあるのでしょう、きっと。


  山田花子 03/08/25(月) 02:55

なな その四 正体(一)

>これは素晴らしい一歩ではないのか。吉永小百合と浜田光夫の映画のような導入のエピソードにちがいない。

 拍手、また拍手・・・泥だらけの純情って感じ!!

>美しい夏の日ざしが湖畔を照らしていた。周囲の山林の緑の映りこむ湖面の、煌めくような輝きときたらここにしかない宝物である。何もかもが、私の人生を讃えているように思えてならなかった。
>パンツの様態が・・・マッサージに見えてしまうのである。

 いや君は全く正常だよ。

>「思想部だ。思想部の手入れだ」
>よりによって今日のこの日に来なくてもいいものを、
>「──さて、ヒッピーの諸君、こちらは内務庁思想部である。ホームルームの時間がやってきた。整列して先生の話をよく聞くように。今日も有り難い人生訓が聞けるだろう。逆らったらお尻ペンペンだ──」

 米国作品風ではありますが大好き! ブロンド弁護士を思いだします。

>「ふん、相変わらず・・・」
 「おお・・しばらくだな」
>ここの肉付きは熟知しているぞとでも言っているようだ。

 さりげないけど大切な描写、ですね。
 たぶんお菊さんも昔はずいぶん派手に彼らとやりあっていた。いまのななのように,
 ということでしょうか?

>奇妙なアジテーションを開始するのである。
 
 この中身も素敵なのですが、よほど大学ノートの中身は重要なのでしょうね。
 一見無鉄砲に見えて敵味方の行動、そして自分の価値、どこまで拷問に耐えられるか、などを計算しつくしたななの行動・・うん、凄い!!
 ゴルゴ13並、といってしまうと「そんなものじゃない」としかられそうな気がしますが・・
 ヒロインの的確な描写の一方で、読者の視点をその「モノ」に集中させ、次につなぐという巧さ、この秘密を託された男がいやおうなしに嵐のうずに巻き込まれていくであろうことを予感しつつ終わらせるとは・・・
  私はっきりいってかなりハマッてしまいました。



  山田花子 03/09/14(日) 09:55

いつもお騒がせしております。山田花子です。なな、今回も素晴らしい内容でした。

 その四 正体(一)堪能いたしました。

事態の概容を読者に知らせるのに、判読しにくいノートを探るという形で、おぼろげに提示する〜うーん並大抵のテクニックではない、とまず感動。

『タイリク製薬』・・・確か第二次大戦の前に大陸でアヘンを作っていた製薬会社がありましたが・・この名前確か以前の出羽作品にも登場したような気がするのですが・・

X熱症
 新型肺炎を思いうかべてもいいかも知れませんが、隔離というのは常に人権との絡みで難しい問題を提起しますね。

>あの夜、ななが湖を見つめて泣いていたのは、失恋のためでも、人生の苦悩のためでもない。

 内容も、言葉のリズムも実に素晴らしい。出羽健さまの文章の中で一番私が好みなのは、このリズム感かも・・・

>私に多少、痛快な気持ちもないではない。軟派の私を嘲笑し軽蔑し、日和見と指弾した学生闘士達の、あれほどまぶしく見えた尖鋭的な運動も・・・

 今度は明治維新を連想してしまいます。特に坂本竜馬なんかを・・・テロリズムや大言壮語では決して倒せるような相手ではないことをななは冷静に判断しているのでしょう。

>浅からぬ窶れの痕がある。左の頬がいつもより腫れているように見えるのは気のせいだろうか。

 一貫して一人の視線から踏み出さないで語られる堅固な構成・・・それでいて何が起こったかはきちんと読者に伝わっているうーん、素晴らしい!!

>ヒロイズムに酔っているとまでは可哀想だから言わないけれど・・・・

 涙が出そうな台詞!!本当の優しさってそういうこと?

>差別をもたらす敵はイデオロギーでも資本家でもない、庶民の内なる心であり、その心が造りあげ、営んできた文化だということを彼らは知らないんだ。

 このことをなな以外に理解しているのは実は(味方といっていい)学生たちより、むしろ敵・・思想部の幹部でありましょう。結局支配がうまくいくためには、いかに「庶民」を知っているか、ということにつきるのか・・・
 ものが見えることの悲劇・・・何も考えないで権力側にいればさぞかし有能な幹部になれたかも知れないのに・・・味方も育たず、結局、大きな流れをつくる起爆剤として果てようとしているのかどうか・・・「百年後に知己あり」とでもいうのか・・・ごめんなさい、勝手な連想です。

>卑劣な考えが心の隅をよぎってもいるのだ。
>あまりの自分の小悪党ぶりに情けなくなり、言葉がもつれてしまう。
>しかしそれこそ、一世一代の迫真の名演技だったわけだ!

 うーん、ななが、邪心を見抜けないはずはないような気がしますが・・

>私はこの瞬間に、私の人生の目的を知ったのだ。私のそれは、ななとこのようにして、密着し続けることに費やされるべきなのだ。

 これが、一番本質であって、これを見抜いたから、ななはボブ君を受け入れたのではないかと思うのですが・・どちらかというと女性的な感想で、よく、英雄や偉人の愛人や奥様が回顧録なんかで語りそうですね。
お尋ね者であった桂小五郎を愛した幾松には、こんな気分があったのでは・・・

>「わかってるわかってる。ボブ君の言わんとするところは、ななには全部わかってる。言葉なんて必要ないんだよ。そうでしょう、だって──」

 ななは、自分の行動をいちいち説明したり、自分がいかに魅力的かをアピールする必要の全くない相手に初めてであった。自分を本質的に理解し、今後の行動も、全てを丸ごと容認してくれる・・どうせ役にたたないけれど、この安心感というか開放感というのは今までに体験したことがなかったのでは・・・月並みですが、こういう関係は「愛」なのでは?

>しかし1+1が2にならないどころか、1.1や1.2にまでも遠く及ばない、マイナス千か、一萬にもなるであろう過酷な現実が目前に迫っているとは、ななといえども──ななだからこそ──知る由もなかったのである。

 今までななには自分があるだけでした。たとえすべてを失っても惜しくない。しかし、今ボブ君がパートナーになったことで、今までの行動力や、研ぎ澄まされた感性に翳りがこないかどうか・・・
 今後の展開を心待ちにしております。


  山田花子 03/10/12(日) 15:21

短いですが・・・もうくだくだと感想を書く気がおこらないくらい圧倒されております・・・
医学及び学生に対する細かな実感あふれる描写にも感銘・・・体験談かと錯覚するような迫力と臨場感に圧倒されました。
 次回がいよいよ楽しみです。

 「なな」ますます冴え渡っています! 細かな感想を書く気が起こらなくなるくらい・・・

>ボブ君の清潔な奉仕の精神の前に、自己嫌悪に陥って気力喪失になってしまったんじゃないかな

 まだ良心のかけらが残っていたのか、それともボブ君の中に昔の自分を見たのか・・・

>ボブ君の目があったんで、自分を見失わずに、ムードに流されずに、踏み止まれたのかもしれない。

 ほかの男の前であの姿を見せられたかというとそれは疑問。やはりナナは特別な感情を抱いているのか・・

>彼も最初はあんな人間じゃなかったはずだよ

 そうでしょうとも。でもあんなことをされているのにここまで突き抜けて客観的になれるとは・・・どれだけ修羅場を見てきたのか、生来の「貴族意識」なのか・・・
 
>「彼もまたX熱症をめぐるこの国の病理の犠牲者なんだよ、きっと」
>ななの憎悪の対象はすでに医師ではない。ななの視線は家族連れの子供を見ていない。
ななの眼差しは優し気ではない。真の敵が潜む暗黒の闇を、ななは痛烈に見据えていた。

 ・・・ない。と重ねて生まれてくる力強いリズム。内容とぴったりで、きりりと引き締まる文末・・・もう快感です・・・。


  山田花子 03/11/15 (土)23:11

 出羽さまの筆力については承知しているつもりでしたが、まだまだ一端しか知らないのだ、ということが良くわかりました。まるで、眼前に映像が展開されているような圧倒的なリアリティ。そして、こころの襞の一つ一つをルーペで眺めているような心理描写・・圧巻です!

その七 ゴムの管

>覗きこんだのは看護婦の帽子を髪につけた中年の女である。・・・・それは看護婦なのだろう。

 冷酷な彼女たちの態度が伝わってくるよう・・
今回は看護婦のみなさんの健闘が際立っていてわたくし的にはとても満足です!!

>看護婦は立ちあがったが、床に並べられたコップや女性器に差しこまれたままのゴ
ムの管を片づけるでもない。管は依然として釣り竿のように股の間から弧を描いて空中に浮いている。

 頭がくらくらします!

>「今度はあんたが覗く番だよ。彼氏のオシッコの出具合、よーく観察してやんな」
>それを聞いたななの怒りは凄まじかった

 自分の尿では動揺しない彼女の平静そのものの態度と見事なコントラストですね。

>私はとくにこの展開を恐怖していなかった。なぜなら・・・

 この事態にあってこれだけ自分をつき放して見ることのできる能力・・・たいしたものだと思います!

>私は畏怖の念とともに、はっきりと勃起を意識した。
>矛盾した感情の錯綜──肉体の苦痛と精神の喜悦──にのたうち回った

 うーん、なんとなくは判るんですが、あまりにも特殊なので簡単に理解してはいけないような・・・

>しかし股間に尻尾のように生えたゴム管を揺らめかせながら、二人の友人同士の男女が全裸で向き合っている・・・

 いつか出羽さま自筆の3D画像が見たい!!!

>男ならば当然心を奪われるはずの乳房や性器はまったく黙殺している。尿道の管にすら関心を払おうとしない。

 冷徹なプロ、ということですね。
 
>院長を見あげたが、攻撃性を抑制した、思索的な表情だ。私にはわかる。・・・

 何度もいいますが、これが判るだけでもこの方のレベルは並々ならぬものだと思います。
 
>彼女の中傷発言は私への暴力を中止させるための方便であるだろう。しかし三人の敵、とくに老練で狡猾な院長が彼女の戦略をすぐに見抜くのも、織りこみ済みなのである。

 今回一番凄い、と思ったのはここ。先の先まで読んで二段,三段構えなのがすごい。

>「面白いね、うん、じつに面白い」
>「気をつけなさいよ」となな。「噛みついて指を食い千切るわよ」
>・・サディスト独特の勘なのか、女にその気のないことを看破した

 このあたりの虚虚実実のかけひきもまるで良く出来た洋画をみているみたい。

>ななの目が、一瞬だけ、私の目とあった。鈍感な私であっても彼女の伝えたい言葉は理解できた。

 決して鈍感ではないと思いますがーー。

>私はこのとき、自分が幸運の立場に置かれているのを認識した。
>漢達の『好意的』解釈によって私は自動的にななの信頼も厚くするのだから、盆と正月が一緒に来たような気分である。

 この壮絶な逆説!!

>これにより両名の基本的人権は留保され、移動、通信、思想、学問、および憲法に定められている自由のすべてが中断される。一般社会との接触はこれを遮断する。

 ぞくぞくしますね。でもこれは、社会と個人の関係を考える上での「実験的小説」であり、とうてい従来のSM小説の枠には収まりきれるようなスケールではありません。もちろん個人的には大歓迎です。論理のぶつけ合いも大歓迎!
 決して無理されている訳ではないと思いますが、お色気シーンの割合が少なくとも実験的・論理的・心理的描写がどんどん広がることを期待しています。


  山田花子 03/11/30 (日)23:38

○子宮乾燥ポンプ

>私とななの間隔は二、三メートルくらいであろうか。この隊列の順であることに感謝しなければならない。

 この事態になってなおこの発言・・タフな精神力!

>「あれで囲まれちまったんだものなあ」
>ななの拳がブルブルと震えている。やはり雨は彼女にとって凶と出たようだ。しかしそれはすべて結果論にすぎない。

 うたぐり深い私としては、これも作戦ではないか、という疑念を捨てきれないのですが・・
 虎穴に入らずんば虎児を得ず、とか・・・・

>坊主でなかったが、完全なショートヘアで、刈りあげも極端なほどバリカンを入れている。

 はっきりいって好みです。夫婦だっていう点もポイント高い!

>悲劇は自分だけで断つ、この強い自覚が社会をX熱症から守るスタートだ。

 個人だけに問題を押し付け、とりあえず自分が関係ないことは知らん顔、という大衆社会の裏返しですね。
 
>定石でもあるのか、消毒室の二人の動きは確信に満ちていて、こうすればこう、ああ動けばああなる、と、人体のくたばり具合や限界を見極めた扱いをきびきびと施している。

 ああここにもプロがいる!

>これで子宮を乾燥させる薬を一気に吹きつけるんだ。X熱症の女性患者は精子の受胎を禁止されているからな、一週間に一度、念入りにコーティングして、まさかのトラブルの予防とするわけだな」
 
 驚いたなどという言葉では表せない荒業ですが・・・
 こんなものを何度もあびせられたら、生理はどうなってしまうのでしょうか? 子どもも永久にできなくなってしまうのでは・・・

>イチジク浣腸──。

 どうせなら、すっかり済ませてから水浴すればいいのに・・なんて突っ込んでも無駄ですね。このでたらめさかげんに彼らの目的がどこにあるか、よくわかりますね・・・。
 
>大きな放屁のファンファーレ・・巨大であからさまな『ブーイング』・・・高音と低音のユニゾン・・・まるでスタッカートのようにユニゾンが途切れるところである。

 なんていう描写でしょうか・・こっちも身体の一部を固くしないようにして読むのが精一杯だ・・・(泣)。
 
>だがこれも悪魔の私にとって好都合な処遇の一つではないか。

 この発想は・・もう頭の中身が壊れていますね(笑)

>この隔離された空間にななと二人きりでいられる現実を思うと、ハタと私は胸騒ぎを覚えるのだった。

 このあたりの飛び切り「飛んでいる」連想が凄い!!。実験的、と感じた私の直感も案外当っていたりして・・・

>私は心の底から今日の日の成り行きに感謝した。私は完璧な『アリバイ』を手に入れ、ななを『獲得』したのだ。

 こういう異常な状況下で、しかも男女の営みが絶望的な中でどのような「関係」が新たに生まれるのか・・・うーん、ドキドキしますね。


  山田花子 03/12/16(火) 01:27

「剥奪」楽しく拝見しました。
 少しずつ、少しずつ人間性を消失していくヒロインたち・・すばらしい!
冷徹な看護婦は特にお気に入り・・ああ外伝が書きたい!のですが、これはぐっとこらえて・・・

>「心配するな。Xどんは結婚も恋愛もしなくていいんだから、髪の毛なんていらんのだよ。煩悩を捨て
仏門に入ったと思えばいいわけだな」

 この台詞はかなり気に入りました。今回はXどんといい、名前といい、「言葉」の大切さがテーマかと・・
 
>一か月も続ければ、二度と無駄毛は生えてこなくなるわ

 イスラム教徒向きかも・・・外伝でも書きましたが・・・

>「大丈夫大丈夫、きっとまた生えてくるよ、風に吹かれたらそよぐほど、伸び伸び
したやつがね」

 このあたりの「遊び」心がいいですね。


  山田花子 04/1/18(日) 08:22

その十 思想部の二人

悲惨な詮議シーンを、ユーモアで救う巧みな設定・・いつものことながら凄い!
直接的に描くのではなく、隣から『覗く』という設定/マジックミラー・・・いつもながら巧み!

>大学出立てといった感じの若い男だ。七三分けの髪、黒ぶちの眼鏡、きっちりとしたネクタイ。どうみても若手官僚そのものである。

 出羽健ワールドでは割りと稀なタイプかも・・期待してしまいます。本家との関係も注目?

>『竜宮城だっ、決まってるだろう? 萬年亀子なんだからな。ハッハッハ!』
>『だから、本籍は砂浜、現住所は海、氏名は萬年亀子。ちゃんと自白してるじゃないか』

 うーん、ジョークの質がどちらかというと中年発想かも知れませんがですが、お気に入り!!

>「・・失禁、脱糞、眼球突出、皮膚がこげる臭いもするほどで──」

 伝聞、写真・・間接的な方法を駆使する描写が巧みです。
舞台の演技は瞬間なのに、彼女の命をかけた「演技」いえ「ドキュメント」はこうして写真にとられて永遠に残る・・・矛盾?でしょうか・・このまま終わらせるにしてはあまりにも惜しい・・・
 という訳で掲示板にまた雑文を書き込んでしまいました・・ああ今年も病気は治りそうもありません。

>「今日一日は充実していたよ。これは負け惜しみじゃない」

 ここからあとの述懐が読ませます。でもね、犬死はだめよ、なな。

>施設や思想部は私に人員を割かねばならず、少なくともその人員は他のX熱症患者達を抑圧する時間がないわけでしょう? 

 その通りかもしれないけれど、その程度のことにために犠牲にするほどあなたの志や能力は低くないでしょう?
 匹夫の勇じゃだめ。大将には大将の役割があるんだから・・心の平安はわかるけど、このあたりはさすがのななも混乱しているか、それとも誰かに聞かせることを想定しているのか・・・

>「だけどこれだけは言っておくからね・・・嫌なら連中の味方になったって構わないよ」

 本当に伝えたいのはラストでしょう。
 唐突ですが、秀吉軍に攻められた中国の名城の城主に、毛利側から寝返りをすすめた、という故事が思い出されます。
 もしボブ君が、思想部側についたら、ななに「陥落」をすすめるのでしょうか?
 ななの体を思っての行為が、ななの志を傷つけることになる・・・
 眼の離せない二人の関係です。


  山田花子  04/02/14 (土)22:50

○鼓膜叩き

 扱い方によっては相当悲惨なお話しなのに、折檻されている当人あるいは折檻している者の視野ではなく、それをやや冷ややかに見つめている第三者のレポート的視点から描く、という工夫、そして何よりもいつまでも元気なヒロインにより(容貌のことなどたいしたことだとは思っていないであろう)不思議な明るさが漂っているところがまず魅力です。

>勘だけどね。匂いがちがうような気がする。・・・俺にはどうもねえ。そんなランクの女とは、ちょっとなあ──」

おそらく自分と同等か、それ以上のクラスだからでしょうか?

>『私を屈服させられるわけがない。・・これでどうして屈服なんてできるだろうか!』
>それらの発言──意気軒高すぎる。

 これでは自分がハイソの娘だと白状しているようなものでは?

>「・・・おめでとうと言わせてもらうよ、超小心者の『山田米吉』君──」

 すごく親近感がわきます。そうか、もうずっと前から出羽健さまの小説と深い縁で結ばれていたのですね。
 
>いや、この美しさこそ苦痛である。この鮮やかさこそ絶叫である。この薄い皮膚の振動こそ涙である。

 詩ですね、全く!!

>ななの顔が見えなくったって、・・彼女の気高い精神の苦悩・・それこそが私を直撃し昂揚させるのである。
>肉体の変化などもはや重要ではなかった。

 これこそSMの昇華かも・・・

>ななさん! 勇気ある撤退も戦術のうちでしょう!
 
 うーん、ななの真意が今一つわからない。あるいは自分がここで拷問死することも計算している?そんなはずはないですね。あくまで生き残ることしか考えていないはず・・・いずれ彼らが自分の正体を知ることを狙っているのか?それまで暴行を甘んじて受け、反攻に転じるつもりなのか?
 続きが楽しみです!!。


  山田花子  04/02/29(日) 09:38

 いつもお騒がせしております。相変わらずの感想です。
もちろん「通電」シーンも素晴らしいのですが、そのほかの着想に眼を奪われました・・・
あまり冴えない感想で申し訳けないのですが・・・・

>強姦の被害者がその身体を見せるのをためらうのと同種の感情が、さすがのななにも瞬間的に宿ったのだろう。

 なるほど、勉強になります。

>最愛の恋人とのセックスでの性感帯として、赤ん坊への授乳器官として、ななのそれはまだまだ使命が残っている

 少なくとも子宮の様子を考えると難しいかも・・・?

>泣くだけ泣いてしまうと、すっきりしてしまい、後はまた超人的な頑張りでノルマ達成へ意識を没頭させてしまうのだった。
 
 女ですねえ・・カタルシスですね・・
 
>「ホイ、ホーイ、ホイ!」
>歌うようなお寅婆さんの掛け声は糞肥の臭いの漂う山あいの畑に響き渡った。

 このあたりののどかな描写が悲惨なお話を返って強調するような・・・
 
>「……ちゃんと抱いてくれないと駄目だよ。そうでなきゃ、すぐに死んでしまいそうだから……」

 この言葉を聞いたら、こっちまで腰が抜けそう・・
 
>それは奇妙な光景であった。ななの最も美しい心根とその美貌に触れながら、ななの最も汚れた排泄物を処理しているのである。

 これってある意味セックスでも同じかもしれません、なんて・・・。
 恋人への思いを断つためにオマルの中を覗く平安貴族のお話・・谷崎にもありましたね・・。

>私は彼女のその横顔に、今までなかったはずのニキビができているのを発見して肉悦している。

 肉悦・・・漢字って素晴らしい!!


 山田花子 04/03/14(日) 08:50

出羽健さま

 お騒がせしております。「なな、その十四 ストレイトジャケット」堪能しました。
いつもの長い感想文(ファンレター)です。

>ふーんそうか、と、聞き終えたななは静かに言った。

 ある程度予想していた、ということでしょうか?

>『子宮乾燥ポンプ』
>「……だんだん男になっていく感じだよ……生理も止まるな、きっと……」

 わくわくする描写と、的確な分析です。無理やり奪われそうになって、かえって『女性』であることを意識させられる、のか・・

>青息吐息の突っ伏した姿の臀部へイチジク浣腸を施され、喇叭のような放屁と軟弱な排泄音と女体からのものとは思えない匂いを部屋中へ充満させて、再び失笑を浴びせられるのだった。

 短いけれど状況が彷彿とする的確な描写です。ただ、この程度のことではななはあまりこたえず、かえって下種な男女の程度を哀れに思うくらいかもしれませんが・・ただボブ君の存在だけはつらいかも知れませんね。

>「強姦はされなかったよ。ただあいつの変態性欲につき合わされただけ。軽いもんよ、変態なんて」

 まずこれを報告する、という心根が悲しい・・

>「ようするに幼稚なんだな。貧しい想像力が生みだす幻影で充足してしまう。青春期の性的妄想から脱皮できずに、成熟できなかったのよ

 この総括は効きました・・・そうです、どうせそうなんだけどさ・・・(笑い)

>ななは身体をできる限り左右へ振って合図してきた。戦闘機同士の挨拶のように。

 些細な点ですがすごく気に入りました!!

>ピカピカに照り輝くななの陰部……。ヒゲ剃り後の男の鼻の下よりも清潔で、剃髪直後の生臭坊主の頭よりも生命力に溢れている、まさに新しい一週間のスタートを感じさせる溌剌とした女陰だった。

 この部分をこのように表現した文章がかつてあったでしょうか!!
 
>しかしお寅婆さんの意思は強固であり、耳を貸そうとしない。
>畑をぐるりと囲う鉄条網の入り口へ、猛スピードのジープが急停車した。
 
 絶妙なタイミングでした。もう少し遅く着いてもよかったかな?

>そこでVIP待遇で健康を回復させ、全治させてから送り届けようとしておるのだ。

 子宮は・・子宮も回復するのでしょうか?

>{「──なぜ私は解放されるのか? 私はX熱症ではなかったのか? 院長の診断を受けてX熱症とされた私を、このまま解放できるのだったら、他の患者全員も解放すべきである、

 ボブ君でなくても拍手喝采したくなる胸のすく啖呵です!!
話は突然変わりますが、函館戦争に敗北した旧幕臣の中に、後の駐英公使 林 薫(はやしただす)がおりました。英国人を驚かせた英作文能力に、黒田清隆ひきいる政府軍は、「一人だけ解放」を提案しますが、当時17歳の彼は「皆が開放されるならともかく自分だけなら断る」と返答し、敵方である薩摩の要人たちを感動させたそうですが・・ふとそんなことを思い出してしまいました。

>私はついに妙案に辿り着いたのだ。
>ななの死命すら制しかねない禁断の方策を──。

 これはあんまりですね・・

>黒髪の艶も、肌の瑞々しさも、目の光りも、何もかも、湖に反射した月光を浴びて、神秘的に佇んでいたあの夜のななのように、キラキラと輝いているのだった。

 よかった・・・あのままなら陥落も時間の問題だと心配しておりました。これなら、もう一度「崩壊」のプロセスを楽しむことができる・・・ってお前が一番変態だ!!

>「蝶のように舞い、蜂のように刺す、カシアス・クレイが相手だ!」

 大変失礼だと思いますが、あえて申し上げると、この名作がもし出版されるとすると、ここには「註」が必要になりますね。わかるものにはわかりすぎるくらいですが・・・

>「自分の娘を助けるのは決して娘が可愛いからではなく、時本家という門地の格に照合して、現況が容認しうるものかどうか、それだけを分析したあげくの行動なんだわ。

 さきほどの、出所拒否宣言と並んで、最もお気に入りの分析です。おそらく、娘の存在が時元家を脅かすことになれば容赦なく切り捨ててくるでしょう。
「実はななは、養女であって、時本の血は流れていない」
 そのくらいの言い訳は平気でしょうし、もちろん絶対に現実世界にかえってこられないように細工するでしょう。ななは否定するかもしれないが、冷静な分析力と、行動力、そして一度決めたら、隙なく、あきらめず執念深く続けようとする粘り強い執着力は優れた知性とあいまって、おそらく父から、あるいは祖父から脈々と流れている血ではないかと思います。子どもたちの中で、それを最も色濃く継いでいるのがななであり、時本本家とななは、世間や世俗的な成功というターゲットに対する態度がまるで反対なだけで、実は思考形態や行動パターンはかなり似ているのではないか、などと思ってしまいます。もし何年かあとに、なな自身が紆余曲折の後、時本の総帥の位置につくことになれば、同じ行動パターンをとるかも知れない、なんて・・

 ななを駆り立てている根源的なエネルギーは何なんでしょうか?人類愛とか、正義感とかいうのはしばらく置くとして、「生きている意味を見いだせる場所でしか私は生きられない」というのがヒントかもしれませんね。『時本』という名前が象徴する世界とは反対の世界に自分を置くこと?あるいはそれが象徴する世間と戦うこと?
 でも聡明なななのこと、否定しても、切り離そうとしてもつきまとう『時本』の『血』は十分意識しているでしょう。むしろ自分を、「時本」の分身としての自分を、あるいは内なる『時本』を否定し、破壊したい、という無意識な思いが、彼女をしてこの勝ち目のうすい戦いに駆り立てているのではないでしょうか?自分でも何をいっているかよくわからなくなってきたのでこのあたりでやめておきますが・・・
 その根源的な目的からいえば、ボブ君の行動は、むしろ望むところかも・・・これがあれば、権力は決して彼女を解放しないし、かえって時本と連合を組んで、彼女を滅ぼそうとするかも・・ボブ君をパートナーに選んだということは、彼女の知性ではなく生物的な「本能」のなせる業であり、一見するとその行動はななを窮地に追い込むように見えるかもしれないけれど、より本質的には、ななが希望することを助けているとか・・・
 
 勝手な意見で申し訳けありません。今後お話がどこまで広がるか、わくわくしなが
らお待ちしております。


  山田 花子 04/04/04(日) 20:01:25

出羽健さま

 年度末の多忙にまぎれて感想が遅れました。こうやって感想を書かせていただくと、あらためて細部の
巧みさが再認識されて楽しみ・・今後も期待しております。

その十五 金太郎(一)

>車のギアを一つひとつトップへ持っていくように、淡々と、かつ躊躇なく、

 不気味で機械的な感じがとても印象的です。

>腹の底からの呻きを聞いて、私は自分の想像のリアリティを実感した。

 悲惨な状況を、状況証拠を積み重ねていくことにより読者に「推測」させながらすすめる筆力はさすがです。


>ななの最も嫌悪するあの『子宮乾燥ポンプ』が機能を追加されて控えていた。

 今回の責めの白眉でしょうか?
 
>「そうそう。ここを消毒した後へ浣腸されたら目が飛び出るくらい苦しいわよ。覚悟しておきなさい」
>当然のように浣腸は施されたのであったが、私はすっかり疲れ切ってしまい、ななのもがき苦しむ悶絶寸前の形相を、喪失した感情の視線で追うだけだったのである。

 予告で想像力をかきたてておいて、さっとふれるだけ。乾燥ポンプの強烈な印象を薄くしない手腕が
さすが・・・

>徹底的に痛めつけられたあげく、眠りまで奪われているこの状況で、唯一の味方であるはずの私に説教されてしまえば、彼女の心の逃げ場がなくなってしまう。

 これは洗脳の基本的なステップのようです。どん底においこんでおいて『友人』を登場させると、その
言動に支配されてしまうというか、『どうにかしてこの友人に気に入られたい』あるいは『捨てられたく
ない』という心理状況になってしまうとか・・すでにななは相当追い込まれている、ということでしょうか?

>・・美貌の女のプライドを、恥辱にまみれさせるためを意図した施設側のカリキュラムであったなら、
残念ながらななの前にはまったくの無力であると言わねばならない。

 相手も、それを期待する程度の玉ならななの楽勝なのでしょうが・・そうはいかない!

>そうした旅回りのさなか、ひょんな縁もあり、全国十ヶ所に点在するX熱症隔離施
設を、慰問のために訪れ、出し物を演じる奉仕活動をもう数年、続けているのだった。

 これは。「続けていると説明した」ということでしょうね。あるいは初めはそうであったということなのか・・・

>お前の信じるものなど、とっくの昔にこの世から滅んでおるわ!
>自分の良心が否定され、滅茶苦茶にされた気分。ななのような性格ならとくにたまらないだろう……。

 絶対的孤独ですね。なるほどこれは『馬』よりもななにとっては厳しいボディ・ブローであるかも・・

>「身体も洗ってるわーっ」アサ子も一緒。

 同性からの野次で涙するなな・・私にとってはもっと、もっと、という感じです。


  山田 花子 04/04/11(日) 08:16:14

出羽健さま
 
その十五 金太郎(二)堪能しました。
 
どんなにひどい状況になっても、いやそういう状況だからいっそう光る2人の愛・・出羽さまが本当に
お書きになりたい「純粋な」関係が、淫らで、猥雑な背景から浮き上がってくるようです。

・・・ななの頬がより強く私の顔面へ寄り添ってきたのも頷ける。
 「……ああ、ボブ君……」とななは擦れた声で言った。「……私をしっかりと放さないで……放しては駄目よ……」
 ザンバラに打ちつける乱れ髪の隙間から、ななは射精の寸前の雄の高揚に耐えながら、視線を私にくれつづけた。苦痛や恥辱とはちがう涙が頬を伝って流れるのを私はうんうんと頷きながら記憶するのだった。

なんと美しい・・・

>「財閥のご令嬢もオカマ掘られたら狂っちまって・・・」

 あれ、みんな知っているんでしたっけ??
 
 「あーしがーらやーまのー、金太郎ー、くーまにーはーさまーれ、オーカマの、け、い、こー!」
 後に続く観客達の肩を組んだ大合唱──。
 「ハイシドードー、ハイドードー、ハイシドードー、ハイドードー!」

くどいようですが、背景が猥雑で、騒がしいものであればあるほど、2人の純粋な関係の美しさがひきたちます。ななの身体が激しく上下する光景が眼に見えるようです!! ななのすべてを見ても、揺るがないななへの愛情・・ボブ君の「自分で自分を納得させる言い訳」はともかく、これが至高の愛でなくてなんでありましょうか? しかしこのあと何がおこるのか?これよりさらにボブ君の愛の深さを試す行為は? ああ2週後の金曜日が待ち遠しい!!


  山田 花子 04/04/24(土) 14:17:01

今回は残酷味がじわじわあふれる素敵な作品でした。これより更に奥があるのかと思うと楽しい反面怖い気がしますが・・・あまりぱっとしませんがいつもの感想をお送りします。

>彼女はがぶりを振って排泄自体を中断すると訴えたり・・・

 これは惨めですね。

>大人の女然としたような──印象が漂うように感じるのは私の錯覚なのだろうか。

 肌を合わせれば後ろの穴でも・・・ということでしょうか?

>本名を口にすることに嗜虐を覚えているようだった。

 名前を支配することはそのすべてを支配することなのでしょうか?
 
>ななが新型媚薬と男達の手管に敗北し、官能の底にズッポリと沈んだ直後、この私の覆面が取り去られ、いったい誰に目撃されていたのか正体を知った途端、彼女の心に起こるであろう、屈辱と葛藤を
想像して私は昂揚する。

 これは・・・これはたまりません!!

>頭の中の『知』はバラバラだろう。『理』も蒸発だ。ななの嫌いな曖昧模糊とした怠惰の靄だけが充満しているのだ。s『心』はそれを吸い続けることに停止をかけられない。

 ああ、美しいなな……。

>これまで見たどの顔よりも魅力的だ。妖艶だ。蠱惑だ。

 内容も素晴らしいが、このたたみかけるリズムがなんとも魅力的です。
 
>さぞかし明晰な分析をしているんだろ、自分の肉体の堕落と精神の荒廃について──」
>性的刺戟への抗体が君の身体に記憶として生まれつつあるのではないだろうか? 
>──かつて経験した際に記憶した反応の手順が抗体として全身を駆け巡ってくるわけだよ
>……愚かな研究者ほど、自然の現象を擬人化する誘惑に勝てなくなる……ジェンダーの社会的迷信を客体化できずに眼前の皮相的現象でそれを実証した気分に陥る。

 この論理展開はお見事・・
 
>君の淫乱ぶりと売女のような喘ぎ顔を見ていて、ふと気がついたんだが、ひょっとすると君は実の娘ではないのかもしれんのじゃないかとね。父親がどこかの妾に産ませた別腹の子供なんじゃないか。あれは情の通った親の目ではなかったぞ。何かを計算している目つきだった。

 鋭い分析・・さすがのナナもたじたじでしょうか・・
 
>「ふん、どうせもう、半分役立たずの子宮だ。壊れたって構わんだろう?」
>「摘出した方が月の物からも解放されて清々するだろうに」

 この残酷味はたまりません。

>ななのこの嵐の前の静けさの如き落ち着きは、むしろその姿を私に目撃されることで勇気を蘇らせた顔つきなのではないか。

 純愛・・・これ以上の言葉は思い浮かびません

>だから私の泣きだしそうな『変態的反射の演技』も不必要となり、

 だからもう変態ぶりっ子はいいから・・って声をかけたくなるくらい・・・

>瀬戸器のような硬質の蒼白さの残っていたかつての色合いではなく、乳白色の、けぶるような女らしさが光沢として芳香として輝き始めているようにも思える。

 しみじみと美しい表現・・

>理想の親像と実際の親の真相との決定的な乖離こそ、ななの思想と行動の原点

 やはりそうなのですね。

>彼女の回転の速い頭脳を持ってしても、今、自分の心に生じている空白と寂寥をうまく合理化するのに手間どっているに ちがいない。精神的な意味で、この絶縁がどういう影響をもたらすのか計りかねているのだ。

 いくらななでもこれがショックでないはずはない、ですよね
 
>名前は『萬年亀子』だ。『時本奈菜江』は抹消されたのだ、この世からな」

 ああ、絶対的な孤独・・
ぞくぞくしますね。あとどのくらい正常な神経を保っていられるのか・・・

>ななへの拷問の段階はまたひとつレベルをあげたのだ。

これ以上のレベルってあるんでしょうか?
楽しみというか、怖い気さえしますね・・・でも楽しみ・・・期待しております。


   Lucifer 2004/05/09 (日) 14:24

>重い拘束衣姿のななは横山と木下の二人掛かりでようやく便器に跨がせられるが、降下する糞魂の固さがどうあれ、傷だらけの肛腔を刺激しないわけもなく、彼女はがぶりを振って排泄自体を中断すると訴えたりする。

他人に覗かれるという恥辱を伴う場面であったにしても、排泄そのものは快楽なはず。それが、出羽健小説では快楽を得られるどころか地獄の責め苦に転じてしまうのですから♪つくづくななは不憫です。それにしてもうらやましいぞ!、山田米吉。自分が「ボブ君」になった積りで、毎回の更新を楽しみにしております。


  山田花子 04/05/30(日)09:24

出羽健さま
 このところ感想が送れないで申し訳ありませんでした。
物語はいよいよ佳境ですね。もはやSM小説の枠をおおきく超えた大作、楽しみです。
限界状況の中で2人の愛はどうなるか・・・

例によって感想を・・

>樽には木蓋があって、その中心点の周囲はゴムで張られている。・・・木蓋はななの肩を押えつけ、樽の口へ嵌まりこんだ。二人は金槌と釘を手にし、蓋の周囲を打ちつける。『樽女』の完成だ。

 このあたりの描写はとても難しいと思いますが、さすがに目前に実物があるような
描写力!!

>私の変態性欲はこの拷問には一切の昂奮を示さなかった。残酷すぎて人格の二面性を発揮する余地がない。
 
 健全ですよね、私はボブ君の健全性に全幅の信頼を置いています。

>まるで頭の振り様で、モールス信号とか手旗信号の合図を体現しているのかのように。
>……まさかいくらななでも、そこまでは……。
>私の中で神格化されているななの偶像のメッキが剥がれ落ちていくような気がして、何かとても恐かった。

 一気に読んでしまいます。このあたりは、ものすごくリアルですね。あるいはこういう筋にしようかと作者が一瞬思われたのか? 結果的にボブ君が石を投げる、というストーリーにおちついたとか??

>『明日は給食抜きだ』
>「大丈夫なんだろう。本人は医者なんだから。おかしくなったら奴自身の誤診だよ」
 
 語るに落ちたとはこのことか・・・どうもこの院長には敵意を感じてしまいます。
樽女(1)ということは、更なる展開が・・・私としてはあんまり排泄のことには触れたてほしくないような気がしますがやはり気になるところです・・でもそこは「医師」ですから・・がんばってね、なな!!

  ビンボイザ  2004/07/11 (日) 21:09

出羽様
長期のご執筆、お疲れ様でした。

情け容赦のない転落に、思わず筆を執りました。
生来の性を、美を、精神を完全に剥奪するオチに私としては、涙がでるほど感動いたしました。
de-feminizationはやはり素晴らしい。
しかも改造を最後の最後に実施するのが、なんともうれしいご配慮です。
最初に改造して、狂わせるというのは、軟派な私にしてみるとどうも、芸がない。
様々なプロセスをへた上で、最後に改造するからこそ面白みがあるようにも、思えます。
ともあれ、「なな」のように入念な工夫が凝らされたSM小説は、わが国にはほとんど無いように、見受けられます。
肉体改造だけを言えば、たしかに二次元系の小説が山ほどあります。
しかし、そうした小説は、どうも心理描写に乏しく私には、いまひとつヒロインの喪失感が楽しめません。

しかし「なな」のような傑作を読める自分が幸せです。
出羽様、ありがとうございました。

また取り留めの無い文章になったことをお詫びします。
感動で、頭がまとまらない状態です。


  マンサク  2004/07/12 (月) 03:26

リンクしていただいてから満足にご挨拶にも来ていませんでしたが、実は出羽健さんの作品にはお世話になっています。
お気に入りは「海猫03」と「なな」です。
気の強そうな女エージェントを陵辱するってテキストはよく見ますが、出羽健さんほども徹底的に壊れるまで…というのには、ほとんど出会えません。
それに洗脳って要素があるのも、私の嗜好と大変近いです。
海猫に見られた徹底した断眠攻撃や、ななのどことなく物悲しいラストなどは、とても良かったです。
これからも、高邁な精神を持つエージェントを卑劣な薬などでグジュグジュに堕としてください。


  ラックーン  2004/07/13 (火) 03:36

オンラインで醜女化小説を幾つか発表しビンボイザさんからも多少好意的な評価を得たことがあるラックーンと申します。
この掲示板への投稿は二度目となりますが、感想の類を投稿するのは初めてです。

醜女化小説はビンボイザさんのおっしゃるde-feminizationとかなり重なる部分があるのですが、私自身は性器の改造には余り興味がありません。しかし、今回の「なな」最終回の整鼻にはぐっと来ました。出来れば頭脳がもっと明晰な時(最終回の手前あたり?)に醜女化してほしかったとも思いますが、自己の美に対してそれほど思い入れがないらしい「なな」の流れの中ではやはり最終盤が自然なのかもしれません。

出羽先生の小説には以前から鼻フックやおかっぱなど醜女化の要素が少なからずあって楽しんできたのですが、「なな」を契機にもう一歩踏み込んで戴きたい、即ち、次回作以降、是非、自分の美貌やスタイルに誇りを持っているような美女を永久醜女(肥満化、豚鼻整形、くっきりした目の豆粒化など)に変えてしまう作品をがっちりした文章で読んでみたいと思うのです。


  つねお  Sat 08/21/2004 19:16:22

あらゆる芸術作品がそうであるように、嗜虐文学も美へのあこがれに支えられ成立しているものである。
もちろん嗜虐文学においては、この美しいものを破壊することをとおして、作品は読にカタルシスをあたえようとするわけだが、その最後の破壊の瞬間にいたるまでは、美の体現者たるヒロインはわれわれ読者のあこがれを受けとめてくれるだけの崇高さを湛えつづけることができなくてはならない。
ヒロインをたとえどれほど卑劣な手段を用いても破壊されなければならない、いわば、常識をこえた魅力を備えた人物として描くことができるためには、やはり、作者は、それだけの美を想起するためのこれまた尋常ではない感性と筆力を備えていなければならない。
嗜虐文学において、作品の魅力とは、このようにして描きだされたヒロインの崇高な精神が、襲いかかる拷問に対してどこまでその尊厳を守りつづけることができるのかという、まさに、その緊張から立ちあがるものである。ヒロインの崇高性が際だつものであればあるほどに、その崇高性を徹底的に冒涜するために、彼女に対する抑圧は過酷なものとならざるをえない。
その意味では、嗜虐文学において、作家は、美を表現する能力に卓越しているだけでなく、その美を貶めるための悪を想起する能力にも秀でていなければならないのである。
このように考えてみると、出羽氏が、嗜虐文学の作家としていかにすぐれた存在であるかがわかるだろう。
これまでの嗜虐文学の歴史を振り返っても、人間の美と悪とを描く能力において、出羽氏ほどにすぐれた作家は存在しなかった。
そして、この『なな・闇の女』は、この嗜虐文学の本質を自らのなかに完璧なまでに体得した作家の傑作群のなかでも最もすぐれた作品である。
この作品には、これまでの氏のその旺盛な創作活動を支えてきたあらゆる魅力が最も高い次元で統合されている。
しかし、この作品のすばらしさというのは、それだけでなく、むしろ、嗜虐文学というものの枠そのものを超越したことだということもできるだろう。
その意味では、出羽氏はこの作品により自らがひとりの類稀な文学者であることを証明したのではないだろうか。
これまでにも、出羽氏は、氏がいわゆる嗜虐文学の作家としての枠に収まりきらない偉大な芸術性を備えた作家であることを、これまでに発表した作品のなかでうかがわせてきた。
しかし、この作品においては、そうした魅力は、もはや作品の隠味としてではなく、作品全体をとおして物語に生命をあたえる最大の特性として息づいているように思われる。
これは、あの『逃亡者の母』の魅力を最大限に発展させたところに獲得されたものということができるだろう。
出羽氏の最大の特徴は、ヒロインをひとつの精神を備えた存在として造形する傑出した能力にある。
確かに、作品によっては、「弁護士」や「女教師」などの嗜虐文学における典型的なステレオタイプを用いてヒロインを性格づけることもあるが、そうした場合においても、ヒロインは必ず固有の精神性を備えた人物として造形される。
そうしたステレオタイプだけがひとりあるきしているという印象をあたえることは決して無いのである。
そして、この『なな』においては、ヒロインの造形は、これまでの作品におけるものをはるかに凌ぐものへと深化している。
読者の目には、ななというヒロインの精神だけが映じる。
そこでは、もはや、彼女のうつくしい容姿などはほとんど意味をもたないものであると思われるほどに、彼女の精神はそれだけで圧倒的な存在感をもつものとして読者のこころに立ちあがるのである。
なながひとりの精神的存在としてこれほどまでの存在感を発するのは、たぶん、彼女が聖者といえるほどの高みに達しているからなのだろう。
ある意味で、出羽文学のヒロインはすべて自らの信奉する思想に殉じていく聖者としての性格をもつが、この「なな」というヒロインにおいては、それは純化されつくしているのである。
そこにあるのは、普通の市民としての幸福をたのしむことへの執着を断った、崇高な目的の達成のために邁進するただただ偉大な人物なのである。
そして、このヒロインの偉大さは、彼女の慈悲に触れた「私」(山田 米吉)の視点をとおして伝えられることにより、彼女のなかにうずまいていたであろう人間的な想念は濾過され、完全に純化されたものとして読者のもとに提示されるのである。
ただ、ヒロインをここまで聖化させてしまうことは、嗜虐文学を嗜虐文学として成立させるためには、大きなリスクを背負うことにもなりかねない。
ななのように、自らの小市民としての幸福への執着を完全に克服してしまったヒロインにおいては、もはや、どれほどに過酷な拷問がくわえられようとも、安穏を志向する誘惑との葛藤が起こりえないからである。
彼女にとり、そのようなものに根ざした生活はもはやほんのすこしの価値ももたないものであるために、それとのあいだには葛藤そのものが起こりえないのである。
従って、こうしたヒロインを主人公とする場合、へたをすると、物語は、転向ではなく破壊を目的とした、いわば、拷問のための拷問を描くだけのものになりかねない。
つまり、あまりにも偉大すぎるために、ヒロインは破壊されるべき“怪物”となってしまうのである。
『なな』という作品は、その意味では、この嗜虐文学というものが内蔵する究極の問題をうきぼりにする問題作ということができるかもしれない。
先にも述べたように、嗜虐文学にいのちをあたえるのは、作者の美へのあこがれである。
しかし、そのあこがれがあまりにも崇高なものであるとき、それは期せずしてヒロインを聖人のレベルにまで押しあげてしまう。
しかし、そのようなヒロインは、嗜虐文学という文脈のなかでは、ある時点において、読者のあわれみを誘う人物としては存在しえなくなる危険性をせおわざるをえない。
『なな』という作品を読んで、意識のどこかにヒロインの悲劇に完全に同一化してきれない思いを感じた読者がいるとすれば、それは、たぶん、彼女があまりにもすばらしすぎる“超人”として感じられたからかもしれない。
(『正義派の妻』において、ヒロインの上川 夏代がまだ人間としての執着を残していたことが作品を近づきやすいものにしていたことが思いだされるだろう。)
実際に彼女は超人であった。物語の最後、彼女は米吉のもとに“降臨”するのである。

「ななだっ。なながいるっ。お寅婆さん、ほらあそこ、あそこだ!」
 お寅婆さんが怪訝な顔をして振り向くと、私は勇んで自分の網膜に映った映像を説明するのだ。
 「中腹の、大きな木の幹のところ、少し曲がった木があるじゃないか、あそこだよ、右手を幹にかけて身体を支え、左手には何か持っているね、風に黒髪をなびかせて、こっちをじっと見下ろしているじゃないか、アハハハ、ななは助かっていたんだ、そして僕を助けにきてくれたんだ、良かった良かったもう大丈夫、彼女ならやり遂げるよ、なななら何でも成功するんだから!」

 「馬鹿言うんでねえ。あの女はもういない。いるとしたら、ほらここだ」
 彼女は私の山へ向けられた人さし指をつかみ、垂直に真下へねじ曲げた。その先には、Xどんの人肥によって耕され、そのせいで雑草ひとつ根づかないという、哀しい畑の黒々とした土が畦っていた。
 そうだ。
 その通りである。
 ななはここにいる。
 私は地面に跪き、土を握ってみる。その暖かさと柔らかさこそ、ななの残していった優しさだ。私の正気を保つ、唯一の希望だ。今年は駄目だったけれど、来年の春、きっとこの土に生命が戻ってくる。小さな芽がふき、可憐な花が咲くとき、私はななと再会できるのだ。

いよいよ狂気のなかにひきこまれようとする米吉にあたかも一抹のなぐさめをあたえるかのように、ななの精神は、この世界のなかにいつまでも生きつづけるものとして顕現し、彼(そして、われわれ読者)を鼓舞してくれるのである。
ここにおいて、ななは、過去の聖人のように、永遠の生命を得ることに成功するのである。
こうした文章を読むと、この『なな』という作品が究極的には人間精神の崇高さを賛美する人間賛歌であることに気づかされるだろう。
その文学作品としての圧倒的な完成度の高さは、人間の美と醜をひるみなく見つめる作者のまなざしに支えられ、まさに驚愕すべきレベルに達している。
この作品により出羽氏は自らがひとりの類稀な文学者であることを証明したのではないだろうか――
先にそのようにのべたのは、まさに、この作品が嗜虐文学としての体裁をとりながら、このような偉業を成し遂げているからなのである。
もちろん、このようなことを指摘すれば、出羽氏は、照れながら、いやあ、あれは筆がすべったのですよといわれるかもしれない。
しかし、賢明な読者は、もちろん、そうでないことをしっている。
出羽氏があれほどまでにすばらしい嗜虐文学を創造することができるのは、氏のなかに、文字どおり、尋常でないほどに熾烈な美を愛するこころが息づいているからにほかならない。
そのようなこころの存在しないところには、あれほどに残虐な物語を創造することなどできるはずがないのである。
また、こうしたところで、そうした“本音”を漏らしてしまうほどに作品創造のいとなみに没入していなければ、これほどまでの傑作が生みだされるはずはないのである。
 いずれにしても、この作品はこれからも多くのひとによりくりかえして読みつがれていくべき作品である。
 これほどの傑作を生みだすことのできる作家と時代をともにすることができることに感謝をしたいと思う。


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