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でわまが収録作品「リ・エデュケーション」〜鉄拳の栄え外伝より
美少女阿部麻衣強制連泊講習編! 吉沢千夏先生も登場!


 本文より.............................................

 粛正

 クラス対抗スポーツ大会は最終日を迎え、恒例の水泳200メートルリレーによって幕を閉じようとしていた。
 三年C組の第一泳者は号砲と同時にプールへ飛びこみ、最初のブレスの際にはすでに頭ひとつリードをとっていた。水面から引き抜いた時、くの字に曲がっていたクロールの腕は水しぶきを華麗に跳ねあげながらしなやかに伸び、ピンク色のスイミングキャップの向こうの水を力強く捉えていた。長い手足の動きにうねるように、ネイビー・ブルーのスクール水着を身につけた芳紀十八歳の肉体は波に包みこまれながら突き進む。プールの半分を過ぎたところで身体ひとつの差ができていた。黄色い歓声は室内に割れるようにこだまする。敵も味方も予想通りの展開とはいえ、この独泳には驚嘆の声をあげるしかなかった。続いて25メートルのターン。壁に片手がタッチした途端、彼女の全身は敏捷に丸くなった。ワンピースの水着の股を貼りつけた逞しい腰部が水に濡れた二本の太腿とともに浮上し、すぐに水没する。いっぱいにバネをため、吐きだすように膝が伸びきり、壁を蹴った。その瞬間、彼女の勝利は確定したのだ。前半のスピードは継続し、それどころかますます水に乗りはじめる。五本の指が水面を鷲づかむ。小さな膝がよく伸びる。細い足首が柔らかい。この完成された肉体にはすでに50メートルプールはそぐわない。大人が三輪車をこぐような窮屈さを感じてしまう。高校三年生のフィジカルではもはやないのである。ブレスの時の顔がこちら向きになったので、大きく開け放たれた口を見られるようになった。表情を観察する余裕はなかったが唇の楕円形は印象的である。『丘』ではまず拝めない派手な歪み。きっと涎も洟も噴泄しているのだろうと想像すれば奇妙な気分に支配される。美少女の、目にしてはいけない悶えの顔なのだ。彼女のふたつの肺に瞬時に吸いこまれる空気。胸は、膨らんだ肺と水着の収縮力に挟まれて心地よく潰されているのだろうか。掻き乱れる水圧が扁平と化した双乳にぶつかるとき、もちろん脳はまったく意識していなくとも、大人の女の代謝が沸き起こり、緊張した乳首はむず痒く硬起しているのだろうか……。
 とうとう彼女は次の泳者にトップを引き継いだ。しばらくは垂れかかる水に目をしばたかせ、味方のリードの行方を見守っていたが、役員担当の生徒に促され、ゆっくりとサイドのタラップへ立ち泳ぎで向かう。真鍮の梯子を昇る彼女の後ろ姿。運動の過激さに火照っている全身を水が流れ下る。ピカピカの白い肌が甘い体温を蒸発させているようだった。曲線美ときたら目のやり場に困るほどである。このプロポーションのサイズと今後三十数年間はつきあっていくはずである。何人の男とセックスしてもしなくても、何人のベイビーを下腹に孕んでも孕まなくても、きっと不変の理想体型。そう確信させるほどの存在感なのだった。
 彼女はボディタオルを胸に当て、級友たちの列に並んで声援を送っている。160台後半と思われる長身をいっぱいに使って拳を振っている。高校生活最後のクラス対抗戦。二度とない青春の日々の、無邪気な喧噪に包まれた一瞬──。
 黄緑色のジャージ姿の男性が背後から彼女の肩を叩いた。
 ビクッとして振り向く美少女。
 その主の正体に気がついてさらに素色の頬をこわばらせた。
 男は耳の傍に口を寄せ大声で話している様子。
 首を振ってプールの方を指さす彼女。
 すると角刈り頭の男は彼女の濡れた二の腕を掴んで強引に引っ張りだした。
 踏んばっていた足がもつれ、とうとう彼女は興奮の渦にある友人たちの列から離れていく。おりしも第三泳者からアンカーへと勝負は移り、トップと後続の差は縮まってきていたから、プールサイドの熱狂は一人の美少女の退場などに気がつくはずもなかったのだ。

 本文より.............................................


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